ビジネスコラム

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新規事業計画書の書き方と作成のポイント

会社で新たな事業計画を企画・立案して自社の経営や関係者の承認を得ようとする場合、あるいは、自身で考えた新しいサービスを新規の事業として計画し金融機関から融資を得て起業しようとする場合には、新規事業計画書を作成することになります。 新規の事業計画に対して社内外の理解を得るため、新たなサービス展開において顧客や融資を獲得するためには、新規事業計画書の作成は不可欠ですが、 「事業計画書を書くのがどうも苦手で」 「実は事業計画書を書いたことがなくて、書き方がわからない」 といった経営者や業務責任者は少なくありません。 そこで今回は、新規事業計画書作成の目的を理解し、新規事業のプレゼンをスムーズに行うための新規事業計画書の基本の書き方と、作成のポイントを解説します。 [toc]

1.新規事業を立ち上げるとき、計画書はなぜ必要?

新規事業計画書とは 2019年1月に日本政策金融公庫総合研究所が分析・発表した「起業と起業意識に関する調査」によると、起業時に事業計画書を作成した起業家の割合は28.0%でした。また、起業時に金融機関から資金を借り入れた起業家に絞ると、59.7%が事業計画書を作成していたと回答しています。(※1) 起業家でなくても、在籍する企業で新規事業を立ち上げようとする際、社内で稟議を起案したり策定した計画を上長や経営者に説明したりするために新規事業計画書を作成したという方も多いでしょう。そもそも、事業計画書はなぜ必要になるのでしょうか。 新たな製品やサービスを立ち上げる、既存の製品やサービスを新たな市場へ展開する……ビジネス環境や技術動向の変化が著しい現在では、多種多様な新規事業が企画されています。そうした新規事業に共通するのは「経験値がないこと」。新規事業とは、読んで字のごとく新たに立ち上げる事業であり、その新規性に対しては事業運営の経験がないということになります。 経験値のない分野に乗り出そうとするからには、立案者はさまざまな分析を行うなどして計画を策定し相応の利益を見込んでいるはずですが、分析した市場環境が変わってしまうなどして計画どおりにうまく進まなかった場合には損害を被るリスクもあります。 競合他社が存在する分野であれば、競合を分析してい優位性を見出しながら戦略を策定することになりますが、結果として競争に打ち勝てないということもあり得るのです。従業員が立案した新規事業に投資するかどうかを判断する会社の経営者や、起業家に融資するかどうかを判断する金融機関の融資担当者は、そうした利益とリスクを天秤にかけて判断することになります。 裏を返せば、新規事業の立案者は、実績や経験値のないなかで自社の経営者や金融機関の担当者に利益とリスクを示し説得しなければなりません。分析などを通じて得た根拠を示して評価を受け、検討・判断してもらうための資料が、新規事業計画書なのです。つまり新規事業計画書を作成する目的は、市場の動向や競合の分析などの客観的なデータを示し、そのデータに基づいてビジネスとして展開していくための信憑性のある戦略を示すことにあります。 新規事業のプロ人材

2.新規事業計画書の書き方手順

ここからは、新規事業計画書の書き方を具体的に解説します。新規事業計画書も、作成する目的や提出先によって盛り込むべき内容やより効果的に仕上げるポイントが異なりますが、ここでは一般的な内容をご紹介します。 新規事業計画書の書き方手順_みらいワークス

1)ビジョンや背景などの事業概要

まずは、この計画書に記載する新規事業はどのようなものなのかといった事業の概要を記載するとともに、「この事業に取り組む理由は何なのか」という背景を記載します。 決して好景気とはいいがたい状況が続いているうえに新型コロナウイルス感染拡大の影響下にある今、新規事業に対する投資や資金の融資を懸念する経営者や金融機関は少なからず存在するでしょう。「その事業はどうしてやるの?」「今じゃないとだめなの?」という突っ込みもよく見られます。 しかし事業責任者には、ある製品やサービスを新規事業として立ち上げるとタイミングが「今」であることには理由があるはずです。その背景にあるものや、目的として目指すものを明確にして、今この事業に取り組む意義があることを伝えましょう。  

2)事業コンセプトの作成

事業コンセプトとは、その新規事業がどういうものなのか、どのようなターゲットに、どのような価値を提供するのか、その概念や考え方を示すものです。「一言で説明できるキャッチフレーズ」をイメージするとわかりやすいでしょう。 企画している新規事業の特徴を書き出し、どの市場に向けたものなのか、どのようなターゲットに届けたいのか、製品やサービスの強みは何なのか、提供する価値はどのようなものなのか、競合他社との差異化ポイントは何なのか……そういったことが端的に伝わるような事業コンセプトを考えましょう。  

3)顧客に提供する価値の明確化

この新規事業では、どのようなターゲットを顧客として、顧客に対してどのような価値を提供できるのかということを明確にします。 ターゲットとする顧客の範囲は、年齢・性別・職業といった区分だけでなく、居住地域、家族構成、年収などをできるだけ具体的に想定します。そうすることで、対象とする顧客層とその層のニーズを具体的にイメージしやすくなり、ビジネスとして成立するかどうかを判断しやすくなります。 そして、その想定顧客に対して製品やサービスを提供することによって、顧客にどのような価値を提供できるのかということを記載します。「その価値を提供できるなら、競合に勝ち市場をリードできるだろう」「そのサービスなら、想定顧客のニーズに応えられるだろう」といった判断を可能にするのがポイントです。  

4)商品・サービス提供の仕組み

新規事業で製品やサービスを顧客に提供する、その仕組みを具体的に説明します。ポイントは、「サービスを届けるためのオペレーション」と、「届けたい顧客に届けるためのマーケティング」の両輪で戦略を考えることです。 オペレーションは、その新規事業を展開する業界の流通の仕組みを洗い出したうえで、誰が何をするのかといった業務フローを設計しましょう。既存のインフラでは不足がある場合や、業界のノウハウが足りない場合は、外部の知見の支援を求めるのもひとつの方法です。 マーケティングの観点では、販売やサービス展開を進めるためのプロモーション戦略の立案、販売チャネルの開拓などが挙げられます。感染症の拡大で積極的な外出が憚られる状況下では特に、インターネットやスマートフォンを活用した戦略の検討が重要です。  

5)収益を上げる方法の検討

企画した新規事業をビジネスとして成立させ、最終的に収益を上げるまでの具体的な流れを、資金面や顧客面、業務フローの面などをふまえつつ整理しましょう。 ビジネスモデルを考えるにあたり、最重要となるのは「誰からどのように収益を得るのか」を明確にすることです。D2Cのように消費者に製品を直接販売して売り上げを得るのか、広告モデルのように製品・サービスの受益者とは別のところに課金するのか、販売などの価格設定はいくらなのかなど、仕組みを明確にします。 また、企画したビジネスを継続するためには、安定的に収益を得ることやその収益を高めていくことも考えなければなりません。新規事業が参入する市場の競合を洗い出し、競争優位性を確認しながら、収益を安定化させる仕組みを考えましょう。  

6)利益計画

新規事業計画書の内容を評価し、その事業推進や融資を承認するか否かを判断するポイントは多々ありますが、「その事業でどのくらい利益が出るのか」という点はその最たるものの一つといえるでしょう。それが明確になるよう、計画したシナリオに沿って費用と収入を試算し、その収支の見通しを記載します。 売り上げやコストの計算は、現実的なものとなるよう根拠をもって試算し、価格設定やシナリオなどの条件を変えながら調整しましょう。また、事業が計画どおりに進まず失敗する場合に備え、事業撤退を決断する基準となる損失額などをあらかじめ見積もっておくことも重要です。  

3.新規事業計画書作成のポイント

新規事業計画書を作成するにあたり大切なのは、策定した計画を示したその内容が説得力をもっているかどうか。自社の経営者や金融機関の意思決定者に響く説得力をもつ新規事業計画書に仕上げるためには、次のようなポイントに留意して書き方を考えるといいでしょう。 新規事業計画書の作成のポイント

1)表紙・概要ページを作る

会社の経営者や金融機関の意思決定者が新規事業計画書をスムーズに読み進め、内容を十分に理解してもらうためには、計画書が読みやすいものである必要があります。レイアウトを工夫する、テキストだけでなく視覚に訴えるイメージも活用する、といったことも効果的ですが、「表紙をつける」「概要ページを設ける」といった基本もおさえておきましょう。 新規事業の内容を詳しく記載しようとすると、計画書のページ数は増えていき、企業の経営や投資判断に忙しい意志決定者が全部を読めないということも……。せっかく内容を充実させたのであれば、その内容を理解してもらえるよう、概要をまとめたページも忘れずにつけておきましょう。  

2)内容を明確にする

いかに読みやすいレイアウトでも、肝心の事業計画が抽象的な内容では、企業の経営者や金融機関の融資担当者を説得することはできません。客観的なデータや数値、時間軸などを適切に示しながら、いつ誰が何をするのか、計画の内容を具体的に明確に記載しましょう。  

3)取り組む意義を明確にする

新規事業には投資が不可欠ですし、リスクへの懸念もつきまといます。環境変化が激しく先を見通すのが難しい今の時代、新規事業への投資に難色を示す経営者や金融機関は決して少なくないでしょう。それでもなお、自社としてこの新規事業に取り組むことにはこういう意義があるという点を明確に示すことが重要です。 新たに製品・サービスを立ち上げるに至った経緯、今このタイミングで起案する理由、この製品やサービスで顧客の課題を解決することへの思いなどを言葉にして、新規事業に挑戦する意義があることを理解してもらいましょう。  

4)根拠を明確にする

企業の経営者や金融機関の融資担当者にとっては、人や資金などのリソースを投資する以上、この事業計画書で示されたビジネスモデルや利益目標が絵に描いた餅ではなく実現可能なものでなければなりません。 「このビジネスモデルが成り立つのはこれだけの市場規模があるからである」「想定顧客にはこれだけの需要があるので、この利益目標を達成できると見込んでいる」「競合は存在するが、このニーズに応える業務を実施できる優位性がある」といったように、事業計画書に記載している内容の根拠となる分析データなどを明確にしましょう。 自社で行った調査の分析データはもちろん、省庁がとりまとめた公的な分析データや調査会社が発表している分析レポートなどを活用し、参入する市場や想定する顧客のニーズがわかるようなデータを提示すると、説得力に厚みが生まれます。  

4.まとめ

新規事業計画書を作成する目的は、自社の上長や経営者、金融機関の融資担当者といった利害関係者を説得して、検討・判断の結果資金や人的リソースなどを調達し、企画した新規事業を実行に移すことです。 意思決定者が「大事な人材や資金を投資する価値がある」と思える事業計画書を作成するためには、おさえておきたい基本の書き方や、説得力を増すためのポイントがあります。事業計画書の作成に苦手意識をもっている方でも、事業計画書を作成する目的と、作成の流れを理解して進めれば、説得力のある事業計画書を作成することができるでしょう。

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

新規事業のプロ人材 出典

※1:日本政策金融公庫総合研究所:2019年度起業と起業意識に関する調査 https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_191223_1.pdf

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