ビジネスコラム

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プラットフォーム事業とは?DX化にもつながるメリットや5つの成功事例も紹介

ビジネスを取り巻く近年の社会情勢や、経済産業省がここ数年警鐘を鳴らしている「2025年の崖」問題を背景に、多くの企業・事業者はでDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や、DX推進を通じてIT・デジタル技術を活用した新規事業の開発が喫緊の課題となっています。 しかしながら変化の激しい時代を迎え、さらにコロナ禍で市場環境や顧客ニーズをなかなか読み切れない状況下で、新規事業の戦略を立てることは困難。そうしたなかで、DX推進や新規事業の検討におけるアイデアとして注目されているのが、プラットフォーム事業です。 本記事では、プラットフォーム事業の概要やその意味合い、ビジネスとしてのメリット、利用者を想定した成功のポイント、すでにプラットフォームビジネスに参入している企業の成功事例などをご紹介します。 [toc]

1.プラットフォーム事業とは?

まず「プラットフォーム」の意味をみていくと、もとは「台」「乗降場」などを意味する英語です。ITの業界においてはソフトウェアを動作させるための環境や、商品・サービスをやりとりするインターネット上のシステム、情報をやりとりするサービス基盤など、なんらかの製品・サービスを利用する「土台」を意味する言葉として幅広く使われています。 そのプラットフォームを提供している企業・事業者は「プラットフォーマー」「プラットフォーム企業」と呼ばれます。近年では、AmazonやGoogle、Facebook、Uberなどが世界的に有名なプラットフォーマーの代表例。日本企業のプラットフォーマーでは、ショッピングモール「楽天市場」を提供する楽天、Webアプリケーション構築プラットフォーム「SPIRAL(スパイラル)」を提供しているパイプドビッツなどが挙げられます。 今注目されている「プラットフォーム事業(プラットフォームビジネス)」とは、まさにそのプラットフォームを構築し、サービスとして提供することを事業とするものです。

(1)プラットフォーム事業が注目される背景

例えば、ある企業がインターネット上で顧客に商品・サービスを販売するビジネスを展開する場合、販売のためのWebサイトやシステムは自社で内製するか、外部委託してシステム開発するという選択肢が主流であった時代がありました。 ところが今は、楽天・Amazonなどのショッピングモールやその他ECプラットフォームを利用すれば、短時間・低コストでサービスに参入することが可能です。その場合、企業は利用するプラットフォーマーに利用料を支払うことでビジネスを継続することになります。そのプラットフォームを介して幅広い顧客とつながれるようになれば、そこに経済圏がつくられることになります。 それは裏を返せば、自社ビジネスの事業戦略にとって他社プラットフォームというサービスの存在が不可欠になるということ。プラットフォーマーから見れば、その状態が続くだけ、利用者である企業から継続的に利用料を得ることができるわけです。 このように、プラットフォーマーが顧客にとって魅力的なプラットフォームを提供し、顧客のビジネスに不可欠な存在となることができれば、プラットフォーマーは手堅く収入を得ることができるのです。こうしたことから、近年はプラットフォーム事業に注目する企業・事業者が増加しています。 加えて、2020年来のコロナ禍は、多くの企業にビジネスモデルや経営戦略の見直しを迫っています。日本貿易振興機構(ジェトロ)が2020年9月に発表したレポート(※1)によると、世界各国に進出する日系企業のうち、新型コロナウイルスの影響を受けて事業戦略やビジネスモデルを見直すとした企業の比率は平均6割程度でした。 不安定な社会情勢で変化の激しい顧客ニーズに的確に対応するという点からも、プラットフォーマーとしてプラットフォームを提供することで収益を上げられるプラットフォームビジネスに注目が集まっているのです。 DXのプロ人材活用

2.プラットフォーム事業における4つのメリット

プラットフォーム事業のメリット ここからは、プラットフォーマーとなりプラットフォームビジネスを展開することのメリットについて、具体的に解説します。

(1)少ない資本で参入しやすい

提供しようとするプラットフォームの種類にもよりますが、オンラインのプラットフォームをインターネット上に開設するのであれば、リアルのビジネスとは異なり土地や建物などを用意する必要がありません リアルの物品を販売するようなビジネスでは製品の製造や在庫管理も必要となりますが、プラットフォームビジネスではそれも不要。構築しようとするシステムの要件や機能に支障がなければ、レンタルサーバーやクラウドサービスを使えば自社でサーバーを設置する必要もありません。 基盤となるシステムの開発も、すでにあるさまざまなIT技術・サービスを活用することで工数をおさえやすくなりますし、クラウドソーシングなどで開発者を探すことも可能。プラットフォームビジネスは、少ない資本でも参入しやすいといえます。

(2)顧客数を増やしやすくなる

サービスのためのシステム開発やWebサイト開発を自社で独自に行い、そこに集客しようとすると、自社サービスだけで集客する必要があります。戦略次第で必要な集客を実現することはもちろん可能ですが、最初のうちは特にハードルが高くなりがちです。 一方で、例えばAmazonや楽天市場のように多くの企業・事業者がサービスを展開し多数のユーザーがそのサービスを利用しているプラットフォームでは、プラットフォーム内でのユーザーの回遊などによる集客の選択肢が増えます。企業間の競争が激化する可能性もありますが、その競争によって各社のサービスの品質が向上すれば、ユーザーはさらに増えるでしょう。 こうして参入企業やユーザーが増えれば増えるほど、参入企業やユーザーとプラットフォームの結びつきは強くなりますし、その魅力に引き寄せられる企業やユーザーの新規利用も期待できます。そうして顧客数を増やすことができれば、収益性がより高まるというわけです。

(3)顧客単価を上げやすい

前述のように、プラットフォームを利用してサービスを提供する企業や、その企業が提供するサービスを利用するユーザーが増え、それぞれとプラットフォームの結びつきが強まれば、企業やユーザーがプラットフォームにもたらす利益が大きくなります。 ショッピングモールのプラットフォームでいえば、ユーザーはあちこちのショッピングモールで購入するよりも、できるだけ一つのプラットフォームで購入するほうがポイント獲得や送料無料などの特典を受けやすくなるため、それだけプラットフォームの利用が増えます そうしてユーザーがたくさん利用するようになれば、サービス提供企業のビジネスはそのプラットフォーム利用を前提に伸びていきますから、プラットフォームの利用を継続することになり、それだけプラットフォーマーに費用を支払うことになります。こうしたメリットが、プラットフォーマーにとっては顧客単価の向上をもたらしやすくなるのです。

(4)データ活用ができる

サービス提供企業やユーザーがプラットフォームを利用すれば、その裏ではさまざまな行動データが蓄積されます。このデータを分析してマーケティング業務に使用することによって、プラットフォーム事業のさらなる発展につなげることができます。 近年のビジネスにおいて、ビッグデータは大いなる価値をもつ貴重な“資源”です。データの扱いには注意が必要ですが、自社マーケティングのみならずさまざまな活用方法を考えることができます。この点もまた、プラットフォーム事業ならではのメリットといえるでしょう。

3.プラットフォーム事業を成功させる3つのポイント

プラットフォーム事業成功のポイント ここまで述べたように、プラットフォーム事業にはさまざまなメリットがありますが、ただ参入すればそのメリットを享受できるというわけではありません。ここからは、プラットフォーム事業を成功させるために戦略上おさえておきたいポイントについて解説します。

(1)フリクションを減らしたプラットフォームであること

今や数えきれないほどのオンラインサービスが存在しており、それらは企業やユーザーに大きな価値をもたらしています。しかし、会員登録を手間だと思われてしまう会員限定サイトや、利用することに不安があるマッチングサービスは、ユーザーを増やすことが難しいものです。 プラットフォームビジネスも同様に、より多くの企業・ユーザーに利用してもらうためには、与える価値を最大化する一方で、利用を妨げる障壁をできるだけ減らす必要があります。「フリクション」とは、英語で「摩擦」「抵抗」などを意味しますが、プラットフォームの業界では、人の行動を妨げる要因をフリクションと呼んでいます 事業者としては新たにプラットフォームを開発してビジネスとして展開する際には、そのプラットフォームにフリクションが存在していないかどうかをチェックし、もしあればできるだけ減らすよう検討するプロセスが欠かせません

(2)企業やユーザーが不満を感じないような仕組みにすること

フリクションを減らしてプラットフォームを構築した結果、企業やユーザーに利用してもらえたとして、実際に利用したときに受け取れる価値以上に強い不満を感じることがあれば、企業やユーザーは別のプラットフォームの利用を考えるでしょう。 この場合の「不満」とは、プラットフォームの使い勝手に対する不満もそうですが、プラットフォーマー自身への不満や不信も大きな影響力をもちますお問い合わせには真摯に対応するなど、誠実なサービス提供に努めて企業やユーザーと信頼関係を構築すること。そして機能面でも使い勝手のいいプラットフォームにしてプラットフォーム利用の価値を高めることを重視しましょう。

(3)利用企業やユーザーを自然に増やす仕組みがあること

プラットフォームを利用する企業を増やすためには営業活動が必要となり、その企業が展開するサービスを利用するユーザーを集めるためには広告宣伝が必要です。しかし、営業活動に多くの労力をかけなければ利用企業が増えない、あるいは広告宣伝にコストをかけ続けなければ利用者を増やすことができないといったプラットフォームでは、いつまでもコストを減らすことができません。 プラットフォームビジネスを成功させるためには、低コストで手離れのいい仕組みを構築することが重要です。特に集客面では、営業活動や広告宣伝になるべくコストをかけなくても規模を拡大できるような仕組みを構築し、プラットフォーマーが自ら集客せずとも企業やユーザーが自然に集まり利用するようなサービスのあり方やマーケティング戦略を考えることが肝要です。

4.プラットフォーム事業の成功事例5選

最後に、プラットフォームビジネスの戦略を考える際の参考として、プラットフォーム事業の成功事例の一例をご紹介します。

(1)LINE

今や日本における“インフラ”の一部ともいえるLINEですが、最初は「モバイルメッセージングサービス」を掲げる無料通話アプリとしてスタートしました。その結果、非常に多くのユーザーを獲得することとなりました。 その過程で、ゲームやニュース、音楽のサブスクリプションなどさまざまなサービスをLINEで提供するようになり、ユーザー数がさらに拡大。そうしてLINEはプラットフォームと化し、そのビジネスを大きく伸ばすに至っています。

(2)Uber Eats

昨年来のコロナ禍では、フードのテイクアウトやデリバリーに対する需要が高まりました。そうしたなかで存在感を発揮してきたサービスの一つが、フードの注文・配達プラットフォーム「Uber Eats」です。 「Uber Eats」は、フードのデリバリーを注文したいユーザーと、フードを提供したい飲食店、実際にフードを配達する配達員をマッチングするプラットフォームです。操作はすべてスマートフォンアプリで完結するうえ、調理や配達などの状況、配達員の情報をアプリで確認できるなど、利用者のフリクションを減らしたことで好評を得、利用を拡大しています。

(3)クラウドワークス

日本国内最大級のクラウドソーシングサイト「クラウドワークス」は、仕事を発注したいクライアントと、仕事を引き受けたいワーカーのマッチングを行うプラットフォーム。 ワーカーがスキルや希望に応じて仕事を探しやすいシステム、クライアントが安心して仕事を依頼できる仕組み、費用の受け渡しを仲介する仕組みなどを構築し、フリクションを減らし信頼感を高めたことで利用者を堅調に獲得しています。 プラットフォーマーであるクラウドワークスは、問い合わせ対応やシステムの改善などを担いますが、仕事受発注のやりとりは基本的にクライアントとワーカーの間で完結するため手離れがよく、成功報酬から手数料を得ることで収益を上げています。

(4)楽天

楽天が提供するプラットフォームといえば、こちらも国内最大級のインターネットショッピングモールである「楽天市場」が有名です。しかし、楽天というプラットフォーマーの手がけるプラットフォームビジネスの成功は、「楽天市場」も含めた多様なサービス展開にポイントがあります。 楽天は、ショッピングモールをはじめ、銀行、証券、クレジットカード、通信など、実に幅広いジャンルのサービスを展開しています。そして、それらのサービスを相互に利用することで、ユーザーには多くの楽天ポイントを獲得しやすくなるメリットが生じ、そのポイントは実際の買い物などに使用することができます。 そのため、ユーザーには「生活上のさまざまなニーズをできるだけ楽天で解決するようにして、多くのポイントを集めよう」というモチベーションが生まれ、サービス利用が促されます。この仕組みは“楽天経済圏”と呼ばれ、プラットフォームビジネスの経営戦略を考える上では外せない成功事例の一つとなっています。

(5)SPIRAL

多様な業界・業務の効率化を支援するWebアプリケーション構築プラットフォーム「SPIRAL(スパイラル)」は、パイプドビッツが提供する、企業・事業者の業務遂行上必要なアプリケーションを構築するためのクラウド型ローコード開発プラットフォームです。 アンケートの入力フォーム作成、顧客のデータ入力・管理、クライアント向け一斉メール配信などの業務を効率化するシステム構築を支援し、企業の営業・マーケティング業務の効率化に大いに貢献する「SPIRAL」は、多くの企業で営業・マーケティング業務担当者に支持されています。 

5.まとめ

商品、サービス、情報などを提供したいと考える企業・事業者に、それを実現する“場所”であるプラットフォームを提供すると、その“場所”に利用者が集まり、そこには一つの経済圏が生まれます。 企業・事業者にとっては商品・サービス提供のハードルを下げやすく、利用者にとっては企業と利用者の1対1の取引よりさらに大きな価値を得やすいといったメリットが、プラットフォームの利用拡大につながります。そして、自らが商品・サービスの提供者として営業活動を展開するのではなく、プラットフォーマーとして“場所”を提供する事業者への対価が生まれるのです。 今はインターネットをはじめとするIT・デジタル技術の進歩により、オンラインのプラットフォーム提供が格段に容易になったため、参入障壁が低くなったことから、プラットフォーム事業は多くの企業の経営戦略策定プロセスにおいて注目を集める存在となっています しかし、注目が集まる分、市場は多様化しており、ただ“場所”を提供するだけではビジネスで成功を収めることはできません。企業・事業者や利用者がプラットフォームに価値を感じて支持するということは、相応の価値を企業や利用者に提供しなければ利用拡大につながらないことを意味します。 プラットフォーム事業を成功へ導くためには、IT・デジタル技術の活用やオンラインサービスといったことにとどまらず、戦略をしっかり練り、事業としての営業活動を展開していく必要があるでしょう。

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

DXのプロ人材活用 出典
※1:約7割が「販売戦略の変更」で、需要減少に対応 新型コロナでビジネスを見直す日系企業の現場の苦悩と新たなビジネスの模索(前編)(日本貿易振興機構) https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2020/0901/700949ccb7761567.html

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