ビジネスコラム

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【プロ監修】新規事業立ち上げにおける7つのステップ! 進め方や事例、成功ポイントも紹介

新型コロナウイルス感染症の流行は今も収束の兆しが見えず、日々、多くの業界・多くの企業が危機に直面しています。そうした状況で、既存ビジネスへの依存から脱し企業として生き残るための戦略として、新規事業の立ち上げを模索する企業が増加しています。 しかし、既存ビジネスには詳しい経営者や社員も、新規事業の立ち上げに関するノウハウや経験はもっていないというケースも多く、新規事業の立ち上げをどのように進めればいいかわからないと悩む企業も少なくありません。 本記事では、中小企業の課題解決支援や地域企業の活性化をサポートするコンサルティングサービスを手がけるプロフェッショナル監修のもと、新規事業の立ち上げプロセスや成功の確率を高めるためのポイントについて解説します。 [toc]

1.日本企業における新規事業への注目度と取り組み状況

新規事業への注目度と取り組み状況 東京商工会議所が、東京23区内の中小企業・小規模企業を対象に実施した調査(※1/2021年9〜10月実施)では、新型コロナウイルス感染症流行の影響もふまえ、中小企業が抱える経営課題が浮き彫りになっています。 2020年3月以降のコロナ禍において新たな取り組みを実施したと回答した企業は、全体の60.6%。うち28.5%は、新分野の展開や業態・業種・事業転換など、事業再構築に取り組んでいると回答しています。 また、地域情報サイト「まいぷれ」を運営する株式会社フューチャーリンクネットワークも同時期に、新規事業を検討する地方企業の経営者を対象として意識調査を実施(※2)。「磐石な経営基盤にするため」(50.5%)、「新規事業で再起を図りたい」(22.5%)、「コロナ禍で事業転換を考えている」(18.0%)など、さまざまな理由で新規事業を検討しているという回答が寄せられています。 新型コロナウイルスの影響は日本のみならず世界全体にわたっており、その影響もあらゆるところに及んでいます。日本においても、都市部でも地方部でも企業にとっては厳しい状況が続いているのが実状です。 新規事業のプロ人材

2.新規事業の立ち上げにおける7つのステップ

新規事業の立ち上げにおける7つのステップ 新規事業のアプローチや立ち上げのステップにもいろいろなものがありますが、ここでは多くの企業で採用されている7つのステップについて解説します。

【STEP 1】自社の理念・ビジョンや社会的存在意義を明確にする

自社の経営理念や達成したいビジョンを明確にすることは、新規事業の展開も含め会社として活動する“軸”になります。その理念やビジョンが魅力的なもの、有意義なものであれば、社員のモチベーションも高まり、新たな人材も集まりやすくなるでしょう。 その理念・ビジョンのなかには、社会的な存在意義も位置づけられます。「社会のこのような課題を解決したい」「社会に対してこうした分野で貢献したい」といったように、社会における自社の存在意義を明確にとらえることができれば、それが会社の強い“軸”になるのです。 反対に、その“軸”をもたない会社は「会社をつぶさないこと」に判断基準の重点が置かれがちで、新規事業を立ち上げる際も短期的な利益の視点ばかりで考えてしまうことが散見されます。そうした考えは、社員からも社外の顧客からも見透かされてしまい、ビジネスとして大きな成功を遂げることは難しくなります。 自社の理念・ビジョンや社会的存在意義を見つめ直し、会社として達成したいことや解決したい社会課題などを再度考え、5年後や10年後に自社がどうなっていたいかを考える——。このプロセスは、新規事業を創出する前段階として非常に重要なものです。ここで明確にした“軸”が、新規事業のアイデアを生み出したり絞り込んだりする際にも重要な判断基準の一つとなります。

【STEP 2】自社や顧客の課題を見つける

新規事業のアイデアを生み出すアプローチとしてはさまざまなフレームワークがありますが、「誰」の「何の課題」を解決する商品・サービスであるのかを入り口に考えることで、確実なニーズにつながる事業を考えやすくなります。 市場の課題、顧客が抱えている課題、業界としての課題、あるいは自社が悩まされている課題、競合他社の課題……課題はあちこちに存在しています。前STEPで社会課題の解決を自社の“軸”として定めた場合、その課題ももちろん対象となります。

【STEP 3】事業領域を決め、事業のアイデアを生み出す

事業領域(事業ドメイン)とは言葉のとおり、事業を展開する領域を指します。事業領域というとターゲットとする市場・業界を定義することと混同されがちですが、事業領域はもう少し広い視野で、「誰のどのような課題を解決するか」「誰にどのような価値を提供するか」といったことを範囲として定めるものです。そのうえで、新商品・サービスなど新規事業の具体的なアイデアを検討する段階に入ります。 アイデア出しや絞り込みは時間がかかりますが、迷ったときは最初のステップで明確にした理念・ビジョンや社会的存在意義に立ち返り、「このアイデアは『5年後、10年後のありたい姿』に向かうベクトルに合致するものなのか」「社会的存在意義の実現にかなう事業となり得るのか」といったように考えることで、会社としての“軸”をぶらさず事業アイデアを発展させやすくなります。

【STEP 4】事業アイデアを分析・予測する

前ステップまでで生み出した事業アイデアをより具体的でより成功確率の高いものにするため、市場の状況や需要などを分析・予測して、実際の事業化に向けてさらに練り上げていきます。 分析・予測については最低限、その新規事業の市場にはどのような特徴があるのか、成長性やリスクはあるのか、すでに存在している競合となるプレイヤーはいるのか、といった市場性に関するものと、新規事業のターゲットとその特徴、ボリューム、ターゲットとなる層のニーズといった事業性に関するものについて調査・分析するのが一般的です。

【STEP 5】新規事業立ち上げの環境を整備する

新規事業の立ち上げには、人・モノ・カネに代表される経営資源の投入や、事業展開に関するノウハウ・情報の集約が不可欠です。具体的にどのような人・モノ・カネ・ノウハウ・情報が必要かということを洗い出し、実際の調達へと進めましょう。 労働人口の減少などで人材不足の傾向があるなか、新規事業立ち上げを任せられるノウハウや経験を有する優秀な人材はさらに確保が困難です。社内の人材に任せるとしても、既存事業との兼ね合いもあります。 そうした場合は、社員の人材採用を検討するのはもちろん、一時的に外部のプロフェッショナル人材を業務委託で招き入れて活用し、プロジェクトをリードしてもらいながら、そのノウハウを社内に吸収するという方法もあります。

【STEP 6】現実的な行動計画を立案する

前STEPの環境整備も含めて、新規事業を展開するために必要な行動を洗い出し、いつ誰がどのようなことをするのか、現実的な計画に落とし込みます

【STEP 7】各行動の成果を検証して改善する

具体的な行動を開始したあとは、計画に沿って進捗しているか、行動の成果は目標を達成するものであったか、立てていた仮説は正しかったかどうか、といったことを定期的にチェックします。 行動が計画より遅れていたら、行動の成果が目標に達しないものであったら、立てていた仮説とは異なる結果が表れたら……そのときはその原因を特定して改善します。このPDCAを繰り返し改善を積み重ねることで、商品・サービスがブラッシュアップされ、事業の精度がより高まります。

3.新規事業の立ち上げを成功させるためのポイント

新規事業の立ち上げを成功させるためのポイント もともと新規事業の成功確率は“千三つ”といわれるほど低いものとされてきました。そして今は、将来を予測することが難しいVUCAの時代。精緻に計画を積み上げても、その事業が成功するとは限りません。そういう状況で、新規事業を少しでも成功へ近づけるためには、どのような点に留意すればいいのでしょうか。本章では、特に重要なポイントを3つ解説します。

(1)経営陣の適切なコミットを引き出す

新規事業の立ち上げは、企業として明確に掲げた理念・ビジョンや社会的存在意義に向かう戦略的な活動の一つとして重要な位置づけとなるものです。そして、商品・サービスを開発しビジネスを立ち上げるには少なからぬ投資が必要になり、時間もかかります。 そうした性質の活動に対し経営陣が積極的に関与しないのも問題ですが、誤った認識やスケジュール感の違い、社内政治などの理由で新規事業立ち上げの動きに“圧力”がかかるのもまた問題です。企業の経営層と、新規事業を立ち上げるプロジェクトチームの意思疎通および適切な連携は、新規事業の成功には重要なポイントです。

(2)現場の方々の理解を得る

日本企業で行われる新規事業立ち上げプロジェクトの大半では、社内の既存事業や社員との連携が不可欠です。さまざまな場面で、社内の各部門の現場で働く方々の協力が必要となります。しかし、現場の社員の方々は日々の業務に追われており、新たな仕事が発生してもなかなかキャッチアップできません。 なかには、社長の思いつきから新規事業立ち上げの動きが始まることもありますが、トップダウンで無理に現場に押しつけても、現場の方々が「新規事業なんて、自分の担当範囲外の話なのに」という意識であれば実際に物事を進めることはできません。 現場の方々の協力を得て新規事業を成功させるためには、その新規事業が現場の方々の“自分事”になることが肝心です。会社がその新規事業をどういう目的で、どのような位置づけで行っているかということを現場の方々にもきちんと理解してもらえるよう、適切に伝達することが、新規事業の成功の鍵を握るといっても過言ではありません。

(3)商品・サービスを届けることまで意識する

新規事業を成功させるには、新たな商品・サービスを開発するだけでなく、マーケティングやプロモーション、実際の流通にのせるプロセスなど、上流から下流まですべての工程に目を配り、その仕組みを整える必要があります。 社内ではそうしたプロセスが別々の部門によって管轄されていることが多いですが、その場合は関連部門を横断してプロジェクトを管理できるような体制を敷き、コンセプトをぶらすことなく新規事業を届けるところまで設計する必要があります。こうした社内連携の必要性を考えても、冒頭の「経営陣の適切なコミット」は欠かせないといえます。

4.新規事業立ち上げの成功事例3選

新規事業の立ち上げでどのような失敗も絶対に避けるというのは実際には難しいことですが、最終的に成功へ導くためには、つまずきや失敗を乗り越えて成功へたどりついた事例から学べることもたくさんあります。本章では、新規事業の立ち上げに成功した企業の事例と、その成功を促したポイントを解説します。

(1)京セラ

京セラ株式会社がライオン株式会社と協業して開発・事業化したのは、音が出る子供の仕上げ磨き用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」。骨伝導技術を用い、ブラシの振動で音楽が流れるようにして、多くの子供が嫌がる歯磨きを楽しい時間に変えるというコンセプトを実現しました。 発端となったのは、プロジェクトチームのリーダーが開発していた振動デバイスと、自身の子供が歯磨きを嫌がるという課題。それをもとにさまざまな仮説を立て、インタビューを実施してニーズを検証した結果、同じ悩みをもつ親御さんがいるとわかりました。 事業立ち上げに際しては、新規事業創出の支援に関する豊富なノウハウを有するSSAP(Sony Startup Acceleration Program:企業の新規事業創出を支援する、ソニー株式会社のアクセラレーションプログラム)のサポートを受け、ライオンのもつ安全性確保のノウハウを生かしながら、ユーザープロトタイプをスピーディーに製作。これによってニーズの検証や製品の改善を実現できたことが奏効した事例です。

(2)LIXIL

株式会社LIXILは、車椅子ユーザーの方がお一人でも玄関のドアをスムーズに開けられるよう、スイングドアの自動化を実現。電動オープナーシステム「DOAC(ドアック)」を開発・リリースしました。プロジェクトチームは2人の構成と小規模でしたが、通常なら3年かかるとされた製品化をおよそ1年で成功させています。 このビジネステーマはLIXIL社内で何度も検討されていたものの、さまざまな課題があり製品化に至っていなかったものでした。特に課題となったのは、新規事業を立ち上げるプロジェクトメンバーの育成と、車椅子ユーザーの方という限定されたターゲットに訴求するマーケティングでしたが、前述のSSAPとの協働で人材育成のトレーニングやマーケティングに関する支援を受けることができ、それによってプロジェクトが成功へと導かれています。

(3)三井物産

三井物産株式会社が社内起業制度の第1号案件として展開した事業は、AIスピーカーを活用したシニア世代向け音声サービス。シニア世代の方々の生活をより豊かなものにすることを理念として掲げ、新会社を設立して事業を開始しました(現在は株式会社NTTデータが運営)。 三井物産の社内起業制度は、三井物産と起業を提案した社員の双方が出資する仕組みで、社員は会社の支援を受けながら新規事業の立ち上げに注力することができます。また三井物産は2019年にはイノベーションラボ「Moon」を設立し、新しいビジネスの創出をサポート。この数年で、多くのアントレプレナーを社内から輩出しています

5.まとめ

社会情勢の激しい変化、新型コロナウイルス感染症の流行、人手不足など、さまざまな外部要因の影響を大きく受ける日々のなかで、とにかく新規事業を立ち上げて現状を打開しなければと考える企業は増加しています。 しかし、足元の売り上げに困り、業務改善に悩み、人材採用に苦心し……といったように目の前の状況が混沌としているなかで、どうにか新規事業を立ち上げたいが経験もノウハウもなく、何に困っているかすら紐解けなくなっているという企業も少なからずあるのではないでしょうか。 そんなときは、自社の会社としての理念やビジョン、こうありたいという社会的存在意義を改めて見つめ直し、「5年後、10年後に当社はこうなっていたい」という姿を明確にすることをおすすめします。 それによって、現状の課題を紐解き新規事業を創出する“軸”、あるいはそこに潜んでいた潜在的な課題を見出すことができるようになるでしょう。そして、その理念・ビジョンや社会的存在意義を現場の人材の方々にもきちんと伝えて共感を得ることができれば、社内のモチベーションは高まり、企業としてのポテンシャル強化にもつながるなど、企業として大きな強みとなります。

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

監修者プロフィール 浅尾 慎介(地方創生を主軸に業務改善コンサルティングを得意とするプロ人材) コンサルティングファームでは、製造業、製薬業をクライアントに業務改革、システム導入プロジェクトに従事した。課題解決、ステークホルダー間の調整を得意としている。 広告代理店では、制作に携わり、YouTubeを活用したプロモーションなどを行った経験がある。

新規事業のプロ人材 出典 ※1:「中小企業の経営課題に関するアンケート結果」について(東京商工会議所 中小企業部)
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1028121
※2:【新規事業を検討する地方企業の経営者111人にアンケート】約4割が「サブスクモデル」を検討経験あり「中長期的な売上につながり、経営基盤が安定する」との声(株式会社フューチャーリンクネットワーク)
https://www.futurelink.co.jp/topic/20211021/

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